エコールドパルファン学長 森田 洋子(2017.6.)
筆者が今春に訪れたパリの香水大博物館(2016年12月オープン)についてご紹介します。
LE GRAND MUSÉE DU PARFUM PARIS香水大博物館: 19世紀、ロードレール男爵が住んでいたロードレール邸。
かつては、ファッションブランド クリスチャン・ラクロワのメゾン跡地(73 rue du faubourg Saint-Honoré 75008 Paris)にオープン。
19世紀のロードレール邸「歴史ある建物」
地下1階、地上3階、1400㎡という広さ。改装を担当したのは、建築家レザ・アザール氏。17世紀に建てられた館の特性を活かし、庭からの陽光を上手く取り入れた各フロアー、ゆったりした階段、地下のカーヴの雰囲気は素晴らしく、来場者を包み込むような、今までにないスタイル。個性的かつ革新的ともいえる空間を作り出している。
香水大博物館は、香りにアプローチしてゆくように、1.香水の歴史(地下1階)、2.化学と嗅覚(2階)、3.調香師のアート(3階)と、3つの
テーマに分かれている。
香水の歴史(地下1階)
香水の誕生から、香水の製造の到来までを展示。ソロモンとシバの女王など、歴史上の香りと 愛にまつわるエピソードが、数々 暗闇の中、色鮮やかに展示されている。 古代エジプトまで遡り、世界初の調香師 神官による人類初めての香水(練香)「Kyphi」や、ハンガリーの「Eau de la Reine de Hongrie」ペストが流行した際、感染免れたというビネガー、など当時の香りを実際に体験できる。
17世紀に登場した香水売りの彫像
香水のボトルコレクション
1830年以降、飛躍的に発展した 香水の歴史その栄華をポスター映像などで見せながら時代背景を紹介。来館者を古き良き時代にタイムスリップさせます。
アルデヒドC-11などの合成香料の発明、20世紀、何軒もの香水ブランドが新商品を発表。その発展史を見ることができる。
化学と嗅覚 : 感覚の世界
「香りの庭」と題された展示室。植物の
様な茎、花をかたどった白いオブジェと
庭園を歩くイメージでできている。
花のオブジェ ディフューザーに顔を
近づけると、発光して、図柄が現れ、
同時にその香りが中心部から漂って
くる。
香りの化学を実体験しながら、嗅覚の不思議に迫ります。
他に、香りのシャワールームや、香り当てのテストなど、来館者を楽しませるようにもなっている。
調香師のアートの世界
雫フォルムの金属ボールには、ひとつ ひとつの調香素材。ボールを回し、香りを嗅ぎ、耳をあてると 香料名、歴史、エピソードが語られる。最先端の技術と香りの融合が来館者を驚かせる。
上の球体の香りを それぞれ嗅ぐことができる。中央には、バラから抽出された本物の香料、5つの花弁には、調香師が表現した さわやかなバラ、甘美なバラといったローズ5種。
この装置で調香師のクリエイティビティーを
表現している。
ラボでの実際の調香シーン オルガンでのラボでの仕事を光と音で見せるインスタレーションなど解説を交え、映像で見せてゆく。
1階は香水の展示
年間400種もの新商品と言われるParisならではの自分好みの香水を探す為に広いフロアーに用意
されたブランド別 香水の数々が見事です。
香水に関する書籍が充実。日本では入手困難な専門書や子供
向けの 香りの絵本など 欲しい本ばかり。